252号

縦に横に前に後ろに体を持っていかれる。

宇宙船の中は誰も一言も発することはなく、眠りについたり音楽を聴いたりスマホを弄って地面に足をつける時間まで、やり過ごす。

船の中は暖かい光と空気。

70センチ四方の窓の外は真っ暗で窓を通してその寒さが伝わる。真っ暗な中にぽつぽつと光が浮かんでは船の後方へ過ぎ去っていく。

通奏低音が体を通して耳まで上ってくる。

冷たくも温かくも温くもない水を一口飲んでまた旅を続ける。