人間活動

いつ起きてもいつ寝ても誰も困らない土曜日。

そんな夜が一番好きだ。

 

お湯を沸かす。鍋を青い炎にかけるその瞬間から僕の心を息を吹き返す。

ぐらぐらと煮えた湯をコップに注ぐ。

コップが温まるとその湯は湯としての生を終える。紅茶のティーパックをコップに放り込み、再び湯を注ぐ。ゆっくりと。

紅が溶け出したら蜂蜜を一回し。シナモン・クローブパウダーを2、3振り。そしてウイスキーを注ぐ。

その瞬間に、紅茶・蜂蜜・シナモン・クローブウイスキーがまじわり、甘く芳醇な香りが広がる。これ。これなのだ。

 

僕は猫舌だからすぐ飲めない。煙草をくわえて、ベランダに出る。夜の街を、夜の空を目に入れて紫煙をくゆらせる。

 

部屋に戻るとさっきの芳醇な香りが僕を迎える。スプーンでかき混ぜる。香りがさらに広がる。

 

外に出て冷えた体と目を覚ました心がぬくもりを求めていた。

コップを口に運んでそれを啜ってみる。舌で転がし、飲みこむ。香りが口と鼻を包み込んでくれる。この世界から解き放たれていく。

ドライフルーツをかじる。またホットウイスキ―を一口。

読みかけの本を開いて、そしてまたこの世界から離れていく。